この絵本の内容紹介
子犬のマフィンは、車の後部座席でうとうと居眠りをしています。
外から聞こえてくるのは、お巡りさんの鳴らす「ピーピーピー」という笛の音や「シュッ、シュッ、シュッ、シュッ」という汽車の走る音——。
マフィンを乗せた車は、街を出て、夏の牧場を目指していました。トンネルをいくつも抜けて、橋をいくつも渡って、長い長い道のりを走ります。
窓の外から聞こえてくるのは何の音?
「パカッ パカッ パカッ パカッ」
「どうどう!」
窓の外から音がすると、マフィンは背伸びをして覗きました。
「なんだろう?」と気になったのは、馬の走る音でした。
「ガラン ゴロン ガラン ゴロン」
また音が聞こえると、マフィンは窓から顔を出して耳を澄ませました。
「いったい なんのおと?」と気になったのは、牛が首から提げた鈴の音。牛の匂いがして、それから姿が見えました。
空から聞こえる轟音
夏の牧場は豊かな音で賑やかです。夜になればカエルの鳴き声が聞こえたり、朝になれば雄鶏の鳴く声が聞こえたり、猫や羊やロバの鳴き声も聞こえてきます。
あるときは、山が動いたような、腹ペコ巨人のお腹が鳴ったような、物凄い轟音が空から響きました。この音の正体とは……。
ピクトブック編集部の絵本談議
お巡りさんの笛の音だったり、汽車の走る音だったり、街は喧騒で溢れてるのかもね。
うんうん。
牧場でもたくさんの音が聞こえてくるけど、都会の喧騒とはちょっと違うように感じるよね。
のはらの はなが いっせいに さきました。
出典:きこえる きこえる なつのおと/小峰書店
—— どんなおとが きこえるかな?
音が実際に表現されるわけじゃないけど、こういった含みを持たせた問いかけも素敵だったなぁ。
「メェェェェ」みたいな誰にでも伝わる動物の鳴き声だったり、「~のような」みたいな比喩的な音の表現だったり、草花の咲く音みたいな耳では聞こえない音だったり、想像力を掻き立てる要素が詰まってるね。
この絵本が描くものや問いかけるものは、心を豊かにしてくれそうな気がするよ。