この絵本の内容紹介
遠い昔、静かな森にひとりぼっちのフクロウが住んでいました。
「ずっと ぼくに あいに きてね」
フクロウが話しかける相手はお月様です。
ひとりぼっちのフクロウにとって、長く暗い夜を温かく照らしてくれるお月様はかけがえのない存在でした。
毎晩、フクロウは夜空を見上げ、お月様に話しかけました。
また、この静かな森には空を飛べないひとりぼっちのコウモリも住んでいました。
コウモリは、飛べないためか空を気にかけたことはなく、暗い森の中をちょろちょろと走り回って暮らしていました。
ところが、ある夜のこと、水たまりに映ったお月様を見つけ、森の上に空が広がっていることに気づくと、木を登って夜空に浮かぶお月様を追いかけるようになりました。
そしてある夜、いつものようにお月様を追って木を登ると……
「きみは だれ? ずっと このもりに いたの?」
「ぼくは、ふくろうさ。きの うえや そらに いたよ。ずっとね」
ひとりぼっちのコウモリは、ひとりぼっちのフクロウと出会ったのです。
それ以来、ふたりはすぐに仲良くなり、お互いのことを話すようになりました。
「ぼくは、ひとりぼっちに みえるけど、ちがうんだよ。すきな あいてが いる。ふりかえって みあげると いつも そこに いる」
コウモリがそう言うと、フクロウも好きな相手の話をしました。
「ぼくにもね、すきな あいてが いるよ。このまえなんて、そらをとんでいたら、すぐ うしろに いて、はずかしくなって にげても ずっと ついてきたんだよ」
コウモリもフクロウも、まさか同じ相手を好きだとは思いませんでした。
お互いに気づかぬまま、仲良く日々を過ごしますが……