この絵本の内容紹介あらすじ

おばあちゃんの誕生日に、ママが焼いたクッキーを届ける途中、ついつい自慢して、友だちのきつねやおおかみにクッキーを分けてしまったミミー。
残り少なくなったクッキーを見て、「もう誰にも会いませんように……」と思っていたら、おなかをすかせたクマのおじいさんと出会ってしまいます――。
相手を思いやる孫娘の優しさを知って、おばあちゃんがかけてくれた言葉とは……?

【ここがポイント】
・やさしさが伝わってきます
・自分の気持ちと正直に向き合うことの大切さ
・家族のあたたかさ

【おうちのかたへ】
「無償の愛」こそ最高のプレゼント 教育評論家・尾木直樹
私たちは日々、むやみに子どもたちに「ごほうび」目当てに頑張らせていないでしょうか。「宿題終わったらオヤツあげるね」「お掃除手伝ってくれたら百円あげる」などと、あの手この手で仕向けます。
子どもは純粋です。そう言われれば、オヤツやほしい物、お金目当てに、せっせと宿題をやり、勉強し、お手伝いするようになります。
でも、子どもが本来持っている素直な心、動機とは、どんなものでしょう。
「お母さんを助けてあげたい」という思いやり。
「わかるようになるって楽しい」「もっと勉強ができるようになりたい」という探究心や向上心。そんな純粋な心、動機があるから、頑張るのではないでしょうか。
そんな素敵な心をつぶしてしまい、物ほしさに頑張るようにしているのは大人のほうなのです。
ミミーが次々とクッキーをあげてしまう行為は、他者への〝無償の愛〟です。目当てがあったからではありません。
まずは、ウルフやコンコンがクッキーを食べてみたいと言ってきます。
ウルフは、弟たちにもあげたいと。ミミーはお母さんの手作りクッキーがとびきりおいしいことを知っています。
だから、お友だちにも食べてほしい、と素直に思い、少しためらいながらも分けてあげるのです。
次に、腹ペコで元気のないくまのおじいさんに出会います。ここでミミーは、迷った末に、今度はおじいさんを助けてあげたい、という気持ちから、自らクッキーを差し出します。もうクッキーはなくなってしまうのに……。
おばあちゃんは、ミミーにこんな〝無償の愛〟の優しさと力強さが育っていることを、心からうれしく思います。
自分の誕生日のプレゼントよりも。そして、ミミーを抱きしめ、その気持ちを伝えるのです。
おばあちゃんに抱きしめてもらって、ミミーも、自分の気持ちや行動は正しかったんだと安心し、誇らしかったに違いありません。

【編集者コメント】
おしゃまなミミーちゃんが、とにかく可愛いのです!
ママのクッキーを自慢したばっかりに、友だちに分けることになったのに、今度はおなかをすかせたクマのおじいさんに出会ってしまって……。
溢れそうになる気持ちを必死で抑えて、おばあちゃんの家にむかうミミーちゃんの気持ちが、自分の幼少時の記憶と重なって、涙が出ました。