この絵本の内容紹介あらすじ

山の頂上に一台の電話線のつながっていない電話が置いてあります。誰が置いたのかは分かりませんが、いつもぴかぴかに磨かれています。

そして、その不思議な電話に話しかけると「もうあえなくなったひとに、じぶんのおもいをつたえると、かならずそのひとにとどく・・・・・・」と言われているのです。

ある日、その電話を目指してやってきたのは、たぬきのぼうや。受話器を取るとお兄ちゃんに帰ってきてほしいと話し始めます。
「もしもし、おにいちゃん。どこにいるの?はやくかえってきてよ!」

絵本「かぜのでんわ (東日本大震災を忘れないーいのちの絵本)」の一コマ

次の日は、うさぎのお母さんがやってきました。うさぎのお母さんは、子どもに向かってお話をしているようです。
「もしもし、ぼうや。げんきにしてる?いいこにしてる?」

ある雨の日には、きつねのお父さんがやってきました。そして、涙を流しながら受話器に向かって話を始めました。
「もしもし、おれ、どうしたらいいんだ!おまえがいないとなんにもできないんだよー。」

電話線のつながっていない電話でたくさんの動物達がお話をしました。いつもは一方的に話をするだけですが、ある日のこと、その電話が鳴っているのです。これはどうしたことでしょう……。

このお話は、2011年3月11日に起きた東日本大震災のあとで岩手県大槌町に設置された「風の電話」をモデルに描かれたお話です。切なくて悲しく、それでいて温かみを感じる物語です。

会えなくなった人へ「風の電話」 岩手の庭師が自宅に