この絵本の内容紹介
森の中に独りぼっちのクマが住んでいました。ご飯を食べるのも寝るのもいつもひとり。
そんなある日、寒さに凍えたウサギがクマの家を訪ねてきました。あまりにも寒そうなので温かいスープを作ったクマは、誰かのために料理する嬉しさに包まれます。
それからというものクマとウサギは一緒に住むようになり、クマの生活にささやかな幸せが舞い降りました。寝るときも一緒、ウサギのために料理を作り、栗拾いも一緒です。どこに行くにも一緒のふたりは、とても楽しい日々を送るのでした。
ところが、ウサギはいつもニコニコしているだけ。クマが「おいしい?」と話しかけても言葉は返ってきません。そんなウサギの様子にクマは少し退屈してしまい、さらには、自分のことをウサギはどう思っているのだろうと心配で眠れなくなりました。
「どうしていつもだまっているの?」
「ぼくのこと、すき?きらい?」
「なんとかいってよー!」
不安が募ったクマは、追い詰めるような大きな声で、とうとうウサギを問いただしてしまいました。
ウサギは目一杯の涙を必死に堪えます。そして、次の朝、ウサギの姿はなくなっていました。
クマの家からいなくなってしまったウサギ。どこに行ってしまったのでしょう。そして、クマとウサギの穏やかで楽しい日々は返ってくるのでしょうか。
言葉がなくても想いが通じ合う。小さな幸せを噛みしめることの大切さを描いた心温まるお話です。