この絵本の内容紹介
エドワード・ゴーリーならではの独特なカルトアートな絵本です。4本脚でドクロ顔、触覚を持った不気味な姿がインパクト大の1匹の蟲が表紙に描かれています。
行方不明になった5才にもならない少女ミリセントのお話です。
ミリセントの最後の目撃情報は、夕暮れ時の人影もない寂しい公園。
ミリセントのもとに忍び寄るのは黒い車。「サアお乗り」と緑の顔をした怪しい者がひっそりと招きます。飴を差し出されて躊躇うミリセントですが、とうとう車に引きずり込まれて連れ去られてしまいます。
その後、死に絶えそうな虚ろになったミリセントのベビーシッターが藪の中で発見されます。
ベビーシッターから事情聴取するも返答するのは同じことばかり。
「聞こえますとも 何度でも 奴らが天井 歩く音」
ベビーシッターの精神が崩壊した描写が恐怖を煽ります。
家族や警察の捜査も虚しく、黒い車で連れ去られたミリセントは、ボロボロで今にも壊れそうな大屋敷へと運び込まれます。
この大屋敷は、なんと蟲の巣窟。蟲の神の生け贄に捧げられるというのがミリセントの悲しく恐ろしい最後です。
幼い少女が誘拐に会うという展開に加え、不気味な蟲たちの生け贄になるというお話です。恐ろしく気持ちの悪いお話ですが、エドワード・ゴーリーのモノクロームの緻密なペン画と柴田 元幸さんの短歌のようなリズミカルな翻訳で淡々と展開される物語が意外と病みつきになる大人が多いようです。
ミステリー小説のような感覚で展開されるエドワード・ゴーリーの独特な世界観がクセになる絵本です。お子さんには決しておすすめできませんが、大人が嗜む絵本としては評価の高い絵本です。