この絵本の内容紹介
エドワード・ゴーリーならではの独特なカルトアートな絵本です。
風の強いある冬のこと、ある館のベルが鳴りますが、そこには誰もいません。
ふと見ると壺の上に怪しく不思議な生き物が立っていました。カラスのようなペンギンのような見たこともない生き物です。
それ以来、館に住む家族と不思議な生き物との奇妙な生活が始まります。
ある日は、鼻を壁につけて直立不動のその生き物。
またある日は、本を破り取っては館を巡回。
夜が明ければ朝食に交じって皿まで食べる暴食。
こんな具合にとっても迷惑な生き物がやってきて早17年が過ぎますが、一向にいなくなる気配はありません。
館に住む家族と不思議な生き物の奇妙な生活を描きます。
エドワード・ゴーリーのモノクロームの緻密なペン画で描かれたイラストも特徴の一つですが、柴田 元幸氏によって翻訳されたテキストも特徴的な作品。原文は英文ですが、「風強く 客もなきはず 冬の夜 ベルは鳴れども 人影皆無」といった調子の五・七・五・七・七のリズミカルな短歌で翻訳された珍しい絵本です。
奇妙な生き物の正体はなんだったのだろうと疑問を残す作品ですが、よく考えると自由奔放な振る舞いはまるで小さな子どものよう。読んでいるとお子さんと重なる部分があるかもしれません。