この絵本の内容紹介
もうすぐ夏休みになる7月17日。なこのママは双子の男の子を出産しました。パパもママもなこも大喜びです。
双子の赤ちゃんは少し小さく、病院の保育器に入っています。ママもしばらく入院することになり、なこは夏休みの間、ママの生まれ故郷である伊豆の沖にある小さな島で過ごすことになりました。
夏休みの最初の土曜日、朝早くからパパと一緒に定期船に乗りました。そして島に着くと、まことばちゃんが診療所の車で迎えにきてくれました。
まことばちゃんはママの妹。そして医者の卵です。夏休みの間、島に戻って、診療所を営むおじいちゃんの手伝いをしています。
まことばちゃんの本当の名前は『まこと』。なこは『まことおばちゃん』を縮めて『まことばちゃん』と呼んでいるのです。
「おじいちゃんとおばあちゃんが首を、キリンみたいにのばして、まってるよ」
道中、まことばちゃんがそう言いました。そして診療所に着くと、おじいちゃんとおばあちゃんが待っていました。ところが、二人の首はいつも通り。まことばちゃんの言葉は物の例えだったのです。
パパはなこを預けると、島から帰って行きました。そして、なこは息つく間もなく海へと出掛けました。
浜では子ども達が走ったり、泳いだりして遊んでいます。それとは別に、岩場の上に一人の男の子が座っていました。
「オーイ、なにしてんだよ?」
なこが声を掛けたのは、岩場の上で海を見つめる男の子。なこより一つ年上で、名前は『かい』。二人の温かな交流はここから始まります。
かいのお母さんは、かいが一年生の時に亡くなりました。それ以来、元気でわんぱく坊主だったかいは心を閉ざし、ほとんど人と話をしなくなりました。ところが、なことの交流を通して、かいは元気を取り戻していきます。
なこの夏休みの島での暮らしを描いた物語です。なことの交流を通して、島民の気持ちが少しずつ前向きになります。ゆるやかながら好転していくその姿に心が温まります。
花火やキャンプの楽しみがなくとも、なこは目一杯に夏休みを満喫します。きっと、なこにとって何にも代え難い思い出になったことでしょう。
この絵本は「島だ!」「ともだち」「かい」「海」「リク」「いそさん」「手術して!」「約束」「小さな弟」「さよなら、夏」の10部構成で描かれます。