この絵本の内容紹介
朝から裏山でミンミンゼミが鳴いています。夏のある日、おばあちゃんは早くから外に出ると、そわそわして落ち着かない様子です。
なぜなら、今日は東京から娘と孫たちがやってくる日だからです。娘たちは汽車に乗った頃だろうか、今はどのへんだろうかと気になります。
日傘をさしたおばあちゃんのそばをシオカラトンボが横切ると、おばあちゃんは昔のことを思い出します。
子どもの頃、釣りをした村はずれの沼での出来事。トンボが釣竿の先に止まると、お友達のとめちゃんが今日は大漁だと教えてくれました。
その日、とめちゃんが言ったとおり、たくさんの魚が釣れたのでした。
おばあちゃんは、孫たちをその沼に連れて行ってあげようと考えました。
そんなことを考えているとおじいちゃんがやってきて、昼前から外に出てても娘たちはやってこないと諭します。
「あとで足が痛い、肩が痛いと言ってもわしゃ知らんぞ」っとおじいちゃんが心配すると、「いつもそう言って肩を叩いてもらうのはどなたですやろ」っとおばあちゃんは笑うのでした。おじいちゃんは咳払いをすると家の中に入っていきました。
ミンミンゼミの鳴き声がより一層大きくなってくると、次は子どもの頃にクヌギ林で遊んだことを思い出します。
仲良しのとめちゃんと木に登ってたくさんの昆虫を捕まえたことを思い出したおばあちゃんは、孫たちをクヌギ林の木に登らせてあげようと考えるのでした。
そんなことを考えているとまたおじいちゃんが外に出てきて、スイカは冷やしてあったかな、トウモロコシを捥いでこようか、枝豆を茹でておこうか、とそわそわした様子です。
でも、おばあちゃんが全部用意してしまっていたのでやることがないと言っておじいちゃんは家の中に入っていくのでした。
おじいちゃんとおばあちゃんがそわそわしながら娘と孫たちの帰省を心待ちにした様子を描いた絵本です。
おばあちゃんは子どもの頃の夏の出来事を思い出しながら娘たちの帰省を心待ちにしています。おじいちゃんは平静を装いながらも実はそわそわした様子で娘たちの帰省をひそかに心待ちにしています。
娘と孫たちの帰省を心待ちにしたおじいちゃんとおばあちゃんの緩やかで穏やかな時間が微笑ましいお話です。