この絵本の内容紹介あらすじ

日曜日、ぼくのおばあちゃんが結婚します。相手は、ぼくのぬいぐるみのポーポ。

絵本「ぼくの ポーポが こいを した」の一コマ

ぼくは、その結婚式に反対します。おばあちゃんは人間で、ポーポはぬいぐるみ。そのような結婚式は絶対に変なのです。死んだおじいちゃんも、きっと怒っているはずです。

結婚式に反対するぼくですが、本当はふたりが恋人であることをずっと前から知っていました。夜中にトイレで起きたとき、ふたりがキスするところを目撃してしまったのです。

絵本「ぼくの ポーポが こいを した」の一コマ2

サンタさんから貰ったぼくのポーポ。それなのに、ポーポはおばあちゃんを選んだのです。ぼくがこれだけ反対しても家族は大賛成です。結婚式の準備は着々と進みます。

絵本「ぼくの ポーポが こいを した」の一コマ3

結婚が決まってからおばあちゃんとポーポは毎日デート。ぼくが「きもちわるいよ」と言っても、「そうだろうねえ」とおばあちゃんは笑います。そして、「でもね こいは へんなんだよ。へんになるのが こいなんだから」とおばあちゃん。

この不思議な結婚式はどのような結末を迎えるのでしょうか。


この物語に登場する「ぼく」と同じ考えの人は多いことでしょう。人間とぬいぐるみが結婚するのは想像できないことです。ところが、この物語の世界では、その結婚が温かく迎え入れられています。「ぼく」だけが反対なのです。

この絵本から何が伝わるでしょうか。おばあちゃんの言葉に『恋』の本質を見出すかもしれないし、多様性の在り方を考えさせられるかもしれません。はたまた、他人が人の恋路に口を出すことではないと感じるかもしれません。

人間とぬいぐるみの結婚に反対する「ぼく」ですが、もしかしたら仲の良い友人を取られたような嫉妬も含まれていたのかもしれません。常識や嫉妬から、批判や反対意見は起こることもあるのです。


岩崎書店:『恋の絵本 ぼくの ポーポが こいを した』(村田沙耶香・作/米増由香・絵/瀧井朝世・編)PV