この絵本の内容紹介
8月のある木曜日の早朝、ムーミントロールは庭の茶色く濁った池で生き物観察をすることにしました。ガラス瓶を池に沈め、生き物を捕まえようと試みます。
ところが、池から瓶をそっと持ち上げると、中には想定外の生き物が……。なんと、そこには小さな竜が入っていたのです。
瓶に入った竜はマッチ箱くらいの大きさ。翼は金魚のヒレのように美しく、頭は綺麗な緑色で、目はレモン色をしています。
そして、その竜はムーミントロールに敵意を持っているようです。小さな白い歯を剥き出しにして威嚇します。
「ぼく、きみのこと、大好きだよ。たいせつに世話する。夜は、ぼくのベッドで眠っていいよ。大きくなって、ぼくのことを好きになったら、いっしょに海で泳ごう……」
ムーミントロールは竜に小さな声で話しかけると、瓶を注意深く持って家に向かいました。竜をペットにすることにしたのです。
一方、家族みんなは庭にいるようです。ムーミントロールは、家族に見つからないようにこっそり瓶を運びます。数日の間は家族に秘密にして、一番最初にスナフキンに見せようと考えていたからです。
「いったい、なにを持ってるのよ?」
ムーミントロールが玄関前に着くと、突然、ちびのミイが現れました。そして、瓶の中身を突き止めようと詮索を始めました。
それに慌てたムーミントロールは、階段を駆け上り、自分の部屋へと向かいます。ところが、その拍子に瓶の中の水が大きく揺れて、竜はますます怒ってしまいました。
ムーミントロールは竜の機嫌を取り戻そうと、あれやこれやと試みますが、炎を吐かれたり、偉そうな顔で軽蔑されるばかり。一向に懐く気配がありません。
さらには、ムーミントロールがスナフキンを家に招くと、その竜はスナフキンの肩に乗って離れなくなり……。
ムーミントロールは竜に思いを寄せ、竜はスナフキンに思いを寄せ、三角関係のような構図が生まれると、すっかり気まずい空気が漂います。それでもスナフキンが紳士的な振る舞いを見せ、最後は意外な形で日常を取り戻します。