この絵本の内容紹介
ネズミ一家は、ペックさん夫婦と子ネズミ13匹の総勢15匹。その一家は人形の家で暮らしていました。
そして、人形の家の持ち主は大金持ちの伯爵。お城のような屋敷に住んでいました。
春の大掃除が終わると、その屋敷には見物人の長い行列が出来ました。見物料を払って屋敷を見に来たのです。なかでも、人形の家は一番の見ものでした。
ところが、夏が終わりを迎えると、見物人の行列は短くなり、伯爵夫妻はインドへ3ヶ月の長期旅行に出掛けようとしています。
その間の留守を預かるのは、新入り秘書のルーシー・プライス。ペック奥さんにとって、ルーシー・プライスは要注意人物でした。
「ルーシー・プライスは、きっとなにか、たくらんでいるにちがいないわ」
ペック奥さんがそう言うのには理由があります。屋敷の台所に食料を探しに行く途中、ペック奥さんは秘書室の前を通るのですが、ルーシー・プライスが電話越しに怪しい話をしているのを目撃したのです。
ペック奥さんが言うには、夜遅くになるとルーシー・プライスは誰かに電話を掛けることが何度もあります。そしてある晩のこと、「あの目ざわりなネズミたちに、かせいでもらう」と話していたのです。
伯爵夫妻が旅行に出掛けると、案の定、ルーシー・プライスは怪しい行動を始めます。家具に掛けられた埃除けの布を取り払い、壁のあちらこちらに大きな紙を貼って回りました。
ネズミ一家の長女は、文字を読めるのが自慢。貼り紙に書かれた文字をみんなに読み聞かせました。
「人形の家にすんでいるネズミの写真をとろう、って書いてあるわ」
「わたしたちが、いちばんたくさんうつっている写真をとった人が、賞金をもらえる、ですって」
ルーシー・プライスの悪巧みが着々と進み、コンテストのことが知れ渡ると、屋敷にはカメラを持った見物人の行列が出来ました。
ネズミ一家は、自分の家にいながらも生きた心地がしません。見物人のいる昼の間は身動きが取れず、隠れて過ごさなければならないのです。
一方、ルーシー・プライスの机の上には、日を追うごとに札束の山が積まれていきました。コンテストの参加料で荒稼ぎして、伯爵夫妻が戻る頃には行方を眩ますつもりなのです。
そんなある日、ペックさんはある作戦を思いつき、ルーシー・プライスに一家総出で仕返しすることに……。