この絵本の内容紹介あらすじ

ネズミ一家は、ペックさん夫婦と子ネズミ13匹の総勢15匹。その一家は人形の家で暮らしていました。

そして、人形の家の持ち主は大金持ちの伯爵。お城のような屋敷に住んでいました。

小さなネズミ一家にとっては、人形の家もお城のように立派です。正面の壁がなく、外から部屋が丸見えでしたが、それでも幸せに暮らしていました。

絵本「人形の家にすんでいたネズミ一家のおはなし」の一コマ

ネズミ一家は毎朝早起きすると、銀の食器を磨いたり、敷物の埃を払ったり、ホウキとチリトリで掃除もします。

そうしているうちに、屋敷には大勢の見物人がやってきました。伯爵は、人形の家を見せてあげようと屋敷を開放しているのです。

人形の家の前では、 カメラのシャッター音が響きます。見物人がいる間、ネズミ一家は息を潜めて暮らしました。

それでもネズミ一家は幸せです。ペック奥さんが屋敷の台所から食べ物を上手に取ってくるので、空腹に耐えることはありません。屋敷の芝生で遊びまわることもあれば、人形の家の居間で家族団欒を過ごすこともありました。

ところがある日、ネズミ一家はペンキの臭いで目を覚ましました。屋敷の壁がペンキで塗り直されていたのです。困ったことに、屋敷が段々と綺麗になるにつれて、人形の家はみすぼらしく見えてきました。

見物人は人形の家をカメラで撮るのをやめてしまい、「こんな人形の家は、いっそ、どこかへやってしまえばいいのに」と言い始めました。

それを聞いて不安が募るネズミ一家。ペックさん夫婦が散歩に出掛けているとき、子ネズミの1匹が良いことを思いつきました。

「わたしたちが、この人形の家を、ピカピカにすればいいのよ!」

さっそく子ネズミ達は洗剤を見つけて、壁を一生懸命に磨き始めますが、あたり一面泡だらけ。さらに困ったことに、人形の家はピカピカになるどころか、壁紙が剥がれ落ちてしまうのでした。

翌朝、人形の家を見た伯爵は、すぐに運び出すようにと命じました。それから、ネズミ一家は新しい家を探すことになってしまい、ついには屋敷の庭の物置で暮らすことに……。