この絵本の内容紹介あらすじ

ポルトガル地方に伝わる民話をもとに作られたお話です。

ある冬の日、おなかをすかせたオオカミがめんどりの家を訪ねます。
「俺はもう年寄りで歯もないから、暖炉で暖まらせてくれたら石のスープを作ってあげよう」と言います。

このオオカミの提案に、めんどりは迷いますが、石のスープに興味がわいてしかたがありません。
大きな鍋を持ってこいと言われ、大きな鍋に石を入れてスープづくりの始まりです!

そこへ、オオカミが家に入ったのを見た豚さんが心配して様子を見に訪ねてきます。
同じように様子を見に来た他の動物たちもセロリ・ズッキーニ・ねぎなど野菜を持ち寄って美味しい石のスープの出来上がり!

みんなの持ち寄りで作った石のスープはとってもおいしく、晩餐は夜遅くまで続きます。さてオオカミはというと・・・次の日、しょんぼりとめんどり宅を旅立ちました。

オオカミは本当に寒くてスープを作ろうとしただけなのでしょうか?
どの場面でもオオカミの目つきは獲物を狙っているように見えます。めんどりたちを食べる気で大きな鍋を要求したのでしょうか。

ところが、動物村のみんなの人の良さとスープのおいしさにオオカミは心動かされるのですね。みんなで囲んで食べるスープは頑なな心もほぐしてくれます。

元が民話なので石が釘だったり訪ねてくる人が兵隊だったり、似たような派生したお話がいくつかあります。

他のお話も「知恵を出せば人は動かせる・協力し合えばよいものが出来上がる・そうして幸運が訪れる」ということがテーマです。この「オオカミと石のスープ」ではオオカミの心情のほうにもポイントが置かれていて、元の民話とは違った味わいの素敵な作品となっています。動物が主人公なので動物たちの愛らしい表情も魅力です!

お子さんとオオカミの気持ちについて話してみるのもいいですね。大人もじっくり考えると奥の深い作品です。