この絵本の内容紹介
卵から生まれ、厳しい自然の生存競争を勝ち抜いて、大きくなっていくヤマメの様子を描いたお話です。
3日ぶりの雨上がりの川、久しぶりのえさにヤマメも大喜びで、大好物のカゲロウでおなか一杯!
ピンクの住むところは自然の川ですから、仲間どうしであっても、時にはえさを横どりされることもあります。
春夏のえさの多い季節を楽しみにしているのは、ヤマメだけではなく人間も同じです。
仲間の魚がえさを捕まえて「ラッキー」と思ったのもつかの間、それは人間の仕掛けた釣り針でした。
キャンプシーズンの川には、水中生物以外にも敵がいっぱいです。
その一方で、山を訪れたおじいさんと孫娘は、釣りを楽しみ、山でとれた山菜やキノコ、それから釣ったヤマメの塩焼きで自然の恵みをキャンプで堪能します。
食うものと食われるものとの営みをくり返しながら、山は夏へと向かっていくのです。
ヤマメが骨になってしまう場面には、大人の私たちも少々驚きますが、いつも私たちがスーパーで買っている野菜や魚も、もとは生きていたのだと改めて感じさせられますよね。
人間とヤマメ、それぞれが自然から恵みをもらって生きているということを教えてくれます。
自然派アーティストである村上康成さんの「山ってこんなに素敵なところだよ、自然はこんなに厳しいところだよ」というメッセージが聞こえてくるようです。
豊かな自然のなかで人間も魚も楽しそうに過ごしている最後のページを見ていると、思わずピンクの住むような山に行ってみたくなります。
文章は短めでイラストもポップな感じで小さいお子さんでも親しめますが、「おさかなさん かわいかったね」では終わらない一冊、小さなお子さんの心にもきっと大事なことを残してくれるはずです。