この絵本の内容紹介
かなこのお父さんは、遠い海で魚を獲る船の船長さんです。夏休みに入ってすぐ、海から帰ってきたお父さんが「おみやげ」と称して連れてきたのは、船のスクリューにはさまれて足を一本なくしたたこの子ども。
七本足のたこなので「ななちゃん」と名づけ、傷の手当てをして面倒をみるうちに、あまえんぼうのななちゃんはすっかりかなこに懐いてしまいます。毎日べったりどこにでもついていき、ついには学校にも一緒に通うことに。クラスのみんなとも仲良くなり、運動会や遠足、スキーやかるたとりなど、いろんな行事で大活躍。毎日が楽しくて楽しくて、このままずっとななちゃんと一緒に学校生活を送るものと思っていたかなこですが、春の学芸会が終わった後、急にななちゃんの元気がなくなってしまい……。
絵本作家・翻訳者など、幅広く活躍するなかがわちひろの絵本。ユーモアあふれるななちゃんやかなこをはじめ、登場人物を見つめるまなざしがどこまでも優しく、作者の深い愛を感じます。終盤は少し寂しい展開になりますが、その先に待っているのは素敵なラスト。ほっこり心が温かくなります。ぜひ最後の1ページまで、余さず楽しんでもらいたい一冊です。