この絵本の内容紹介あらすじ

僕は心も体も疲れ切っていました。何もやる気が起きず、いつの間にやら椅子に座ったまま眠ってしまいました。

——どのくらい眠っていたのでしょうか。ほのかに甘くてほろ苦い香りに、ふと目が覚めると、机の上には不思議な光景が広がっていました。鳥の形をしたカップ、角砂糖、コーヒー豆……そのどれもに足が生えていたのです。

——これは夢の続きなのでしょうか。白くて小さなウサギが僕のことをじっと見つめていました。

「やあ、モカだよ」

モカと名乗るウサギ。どこかで見たことがあるような……。けれども、思い出すことができません。

ようこそ、まほうの世界へ!

「やあ、ようこそ、まほうの世界へ! 元気のないきみに、とっておきのコーヒーをごちそうするよ——昔のようにもっと笑って。だいじょうぶ、きっとうまくいくよ」

まるで僕のことを知っているような口ぶりでウサギは話しました。そして、カップやコーヒー豆達が踊りながら集まってくると、様々なコーヒーを作り始めました。カプチーノ、エスプレッソ、コーヒーシェイク、ウィンナーコーヒー……。

「まずは大きく深呼吸。」
「そして、いやなことはみんなわすれて。」
「思いっきり笑ってごらん!」

知ったようにウサギが励ましてくるので、僕はイライラしていました。それなので……。

「もういいかげんにしてくれ!!」

僕が大きな声で叫ぶと、目の前の不思議な光景はロウソクの炎が消えるかのように一瞬にして壊れてしまいました。

だいじょうぶ、泣いていいんだよ。

僕は叫んだ後に後悔し、慌ててモカを探すと、散らかった机の上にポツンと佇んでいました。優しくも悲しげな目で僕を見つめ、こう言いました。

「だいじょうぶ、泣いていいんだよ。モカはずっときみのそばにいるよ」

僕はその言葉を聞いて、不意にも涙が溢れました。そして、忘れていたことを思い出し……。


ピクトブック編集部の絵本談議

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この絵本に描かれるのは、小説家志望の青年のお話なんだよね。日常に疲れ果てた青年の前に、突然とモカという不思議なウサギが現れるんだ。

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なんだか切ないような温かいような不思議なお話だね。

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うんうん。
モカの優しい言葉に心が救われるような気持ちになるね!

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ところで、この青年は何を思い出したんだろう。

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それは読んでみてのお楽しみ!
最後は感動しちゃうかも。