この絵本の内容紹介
カエルの‘ぴっぽ’はいつも独りぼっち。寂しくて眠れないときは羊を数えました。
ある夜、ぴっぽは眠れず、例のごとく羊を数えていると……不思議なことに小さな羊に出会いました。しかも、その羊は夢の中を旅することができるというのです。
「いっしょに 行ってもいい?」
ぴっぽはそう尋ね、羊と一緒に夢の旅に出ることにしました。
夢の世界
ぴっぽと羊が最初に訪れたのは5月の夢。美しいポピーの花が一面に咲き誇っていました。
「わたしたちはね、このそよ風にのって、ふわふわと 空をとんでみたいの」
ポピーの花達はふたりにそんな話をしました。
ぴっぽ達は6月の夢に辿り着きました。そして、透き通った池には一匹の金魚が住んでいました。
「ぼくにも 足があれば、ここから出て 外のけしきを 見られるのに」
金魚はふたりにそんな話をしました。
ふたりの旅は7月の夢へと続きました。その夢の中では、朝露に煌く朝顔が咲いていました。
「もっと高く もっと高く。空の上まで 行ってみたいな」
朝顔はふたりにそんな話をすると、ため息をつきました。
こうしてぴっぽと羊の旅は、7月から8月へ、8月から9月へと続き、気づけば12月の夢に辿り着きました。雨はすっかり雪に変わり、あたり一面雪景色です。
「もうひとりでも さびしくないや」
ふと、ぴっぽはそう思って、どんどん歩いて行きました。小さな羊を残して……。
孤独に逆戻り
ぴっぽは独りぼっちで1月の夢に辿り着きました。雪がしんしんと降り、視界の先は真っ白。ぴっぽはその雪の中に消えてしまいそうでした。
そんなとき、ぴっぽは小さな羊のことを思い出しました。2月の夢に辿り着いても羊のことが頭から離れません。ぴっぽは3月の夢の中で必死に羊を探しました。
そして、ようやく羊を見つけると、ぴっぽは幸せな気持ちになって走り出し……。
ピクトブック編集部の絵本談議
ぴっぽが寂しさを忘れられたのは、きっと羊がそばにいてくれたからだよね。それなのに、寂しさを忘れて羊と離れ離れになるなんて……。
どの生き物や植物達も自分に無いものを切望していたよね。でも、どの季節も素晴らしい世界が広がってたね。客観的にみると、素晴らしいと思えるんだけど、それが日常になると盲点になるのかも。
ぴっぽも羊の存在の有り難みを忘れてしまっていたのかもね。
寂しい展開もあったけど、最後は温かい気持ちになれるお話だったな。
眺めるだけでも癒される絵本だったね!
幻想的な世界が描かれてて、ページをめくるたびに目を奪われたよ♪