この絵本の内容紹介
ばすくんは、壊れて山に捨てられた路線バスです。昔はお客さんを乗せて元気に走っていました。今は動物達と仲良く暮らしています。
その動物達は、ばすくんの中で冬眠していました。
春も間近に迫ったある日のこと、小熊が一足先に目を覚ましました。お父さん熊を起こそうとしますが、揺すっても起きる気配はありません。そこで、小熊はひとりで外に出ていきました。
目の前には、あたり一面の雪景色が広がっていました。久しぶりの外が楽しくなって、小熊は雪の上を走り回りました。
小熊の捜索
翌朝、ようやくお父さん熊が目を覚ましました。ところが、小熊の姿が見当たりません。外に出てみると、雪に残った足跡が山の麓へ続いていたのです。
「たいへんだ!」
お父さん熊の叫び声で、動物達は冬眠から目を覚ましました。それから、みんなで小熊を探しました。それでも、とうとう見つけることは出来ませんでした。
「まさか やまを おりたんじゃ?」
仲間の誰かがそう言い始めると、みんなは困り果ててしまいました。人間達を恐れていたからです。
壊れたばすくんも身動きが取れず、悲しい気持ちになるばかりでした。
そんなとき、夜目の効くフクロウが声を上げました。人間に見つからないように暗くなってから探しに行くと言うのです。
そうして夜が更けると、フクロウは空高く舞い上がって、麓の街を目掛けて音もなく飛んでいきました。
ところが、フクロウが街外れで一休みしたとき、思わぬ出来事が起きました。見たこともない巨大な怪物が目の前に現れたのです。
フクロウは「うわぁー!」と叫び、さらには気絶してしまうのでした。
動物園と飼育員
フクロウが目を覚ますと、視界の先には人間がいました。それでも恐れる必要はありませんでした。この人間は動物園の飼育員で、フクロウの治療をしていたのです。
それからしばらく経ったある日、フクロウの怪我が良くなってきたので、飼育員が動物園を案内してくれることになりました。園内には、たくさんの動物達が暮らしていて、子ども達の声も賑やかです。
驚くことに、フクロウの怪我の原因となった怪物の姿もありました。
ところが、この怪物の正体はサファリバスです。怪物と見間違えただけだったのです。
サファリバスを見たフクロウは、ばすくんのことを思い出すのでした。
突然の再会
そうして園内を一回りして戻ってくると、飼育員に黒いものが飛びつきました。それは、驚いたことに、フクロウの探していた小熊でした。人間に保護されて動物園に引き取られていたのです。
しばらく経って、フクロウと小熊は、飼育員と一緒に仲間達のもとへ帰りました。心配していた仲間達はこれで一安心。飼育員の優しさにも気づきました。
「へぇー きみが ばすくんか。どこが こわれてるの?」
飼育員はそう言って、ばすくんを詳しく見始めました。そして「これなら なおせそうだな。」と言って……。
ピクトブック編集部の絵本談議
子熊が無事に見つかって良かったね!
ところで、ばすくんは無事に修理してもらえたのかな?
ちょっとだけ話しちゃうと、ばすくんは無事に治ったよ。
飼育員さんが部品を持ってきて修理してくれたんだ。
そうなんだ!それは良かった!
でも、ばすくんは走れるようになったらどうするんだろう?
もしかして、街に戻っちゃうのかな・・・。
そうだね〜。たしかに戻りはするのかな。
でも……、悲しいお話ではないよ。続きは読んでからのお楽しみだね!