この絵本の内容紹介
たぬきのハルは、人間に化けることと草笛を吹くことがとっても上手でした。そして、森の動物達は、「ハルのふえ」が大好きだったのです。
ある朝のこと、ハルが草笛を吹きながら歩いていると、森の入り口で人間の赤ちゃんを拾いました。今にも死んでしまいそうな赤ちゃんを見て、ハルはお母さんの代わりになることを決心します。
ハルは、吹いていた草笛の葉っぱを頭に乗せて宙返りをします。すると、たぬきの尻尾も髭も消えて誰も疑いようのない人間の姿に化けたのです。
ハルは、赤ちゃんをパルと名付け、たぬきミルクやたぬきパン、たぬきうどんやたぬきそば・・・・美味しいものを食べさせます。すくすく成長したパルが大きくなると、毎日、草笛の練習を重ねます。そして、ハルに負けないくらい上手になったころ、パルは森の人気者になっていたのです。
ハルが忙しいとき、パルは一人で草笛を吹いて遊びます。そして、ある日、パルが一人で草笛を吹いていると、クラリネットを担いだ旅人が通りかかります。旅人がパルの草笛に合わせてクラリネットの演奏を始めると、まるで森の音楽会のような演奏になるのでした。
演奏が終わると、パルは旅人と一緒に家に帰ることになります。それから、旅人はパルを立派な音楽家に育てると言って、パルを預かりたいとハルにお願いするのでした。
ハルは、パルと別れることが死ぬほど辛いことでしたが、人間の子どもは人間の世界へ返したほうがいいと考え、旅人に預けることにしたのです。
ハルは、パルが辛くて逃げ出したくなったときのために、いつでも迎えてあげられるようにとずっと人間に化けたまま旅立つパルを見送ります。
その後、パルは立派な音楽家になることができたのでしょうか。そして、たぬきのハルと人間のパルの関係は今後どうなってしまうのでしょうか。
たぬきのお母さんと人間の子どもの種別を越えた親子の強い絆を描いたお話です。母と子のお互いを思いやる愛情に温かな気持ちに包まれることでしょう。