この絵本の内容紹介
君が空に旅立って、もしかしたら……と願いますが、戻ってくることはありません。涙が枯れるほどの悲しみですが、お花で綺麗に飾ってお別れしました。
初めて会ったときは、とても小さな子犬でした。海でじゃぶじゃぶ遊んだり、雪の中をお散歩したり、一緒に暮らす日々はとても楽しいことで溢れていました。
来年の春も桜でピンク色に染まった並木道を一緒に歩けると思っていましたが、今はもう叶いません。
君はもうどこにもいません。君がいない部屋は空虚に感じます。それを紛らわせるために、ベッドも首輪も全部を片付けました。思い出を箱に入れて、そっと閉じたのです。
それでも簡単に忘れられるものではありません。会いたいし、ふれ合いたいのです。
「たまには外に出てごらん」
そう言われて、手を引かれながらドアを開けてみると……。見上げた空には、ふわふわの雲。足元には、ころんとした石や小さな花。そのどれもが君に似ていると感じるのです。
会いたいと願うなか、ふと君の存在を感じます。風の中に。光の中に。木の中に。星の中に。見えないけれど、いつもそばにいてくれたのです。
女の子の一人称視点で描かれた物語。子犬と出会い、楽しい日々を過ごし、その日々が過ぎ去り、突然のお別れを迎えます。悲しみに暮れる女の子は「きっとそこにいるから」と、自然の中に愛犬の存在を感じ、笑顔でいることにしたのです。
女の子の「お別れ」に対する葛藤を、静かに穏やかに描きます。この物語から何か大切なことを感じるはずです。大切な存在をを失った人々に、癒しや大切な気づきを与えてくれることでしょう。
著者:松尾 たいこ氏は、15年間連れ添った愛犬との別れを経験しました。その受け入れ難い経験に想いを巡らせて描いた絵本です。