この絵本の内容紹介あらすじ

1900年、廃墟だった家が子ども達によって発見されます。その家は、ペスト大流行の1656年に建築されました。建築から200年以上の時を経て、栗やキノコ探しをしていた子ども達によって発見されると、再び活気を取り戻していくのです。

子ども達に発見された翌年、災厄と山火事によって丘の上は荒れ果ててしまいますが、この家は石造りということもあって、なんとか存続します。それから、さらに4年後の1905年になると、この家に住み着いた人々は工夫を重ね、荒れた丘を整地し、強い品種の果樹を育てました。

そして、それからさらに10年後、この家の庭で若い夫婦の結婚式が執り行われました。1916年の春には、親子が復活祭の祝福を受け、明るくて穏やかな時間を過ごします。

古びて廃墟だった石造りの家を視点に、この物語は展開されます。家に意思があるかのように、家が自分史を語るように、人々の暮らしとともに長い年月が描かれます。

妻を失って悲しみに打ちひしがれる夫、収穫にせわしない人々、戦争で避難してきた苦しみの渦中にある人々、長い年月とともに人々の多様な営みを紡ぎ出します。

二度の大戦に見舞われた激動の20世紀、その100年間の人々の日々の暮らしを、家は穏やかに見守り続けます。そして、時代とともに移りゆく人々の暮らしを定点観測のように感慨深く語ります。

一度廃れ、そして再び活気を取り戻し、激動の時代を見守ってきた石造りの家。その家は、いつまで人々の日々の暮らしを見守り続けることができるのでしょうか。家を主役に、家の語りによって紡ぎ出される物語に、人々の生きる力を感じます。