この絵本の内容紹介
青くて深い海のあるところ、銀の鱗を持った魚達が仲良く暮らしていました。
その仲間の一員として、にじうおも楽しい日々を過ごしています。みんなに銀の鱗を分けて以来、すっかり仲間達と打ち解けていたのです。
その魚達は、遊ぶのも食べるのも何でも一緒。そうして幸せに暮らしていたので、他の魚達のことはどうでも良いと思っていました。
そんなある日、銀の鱗の魚達の群れに一匹の縞模様の魚が泳いできました。銀の鱗の魚達は、縞模様の魚を意地悪くジロジロ見つめます。
「ぼくも いれて くれる?」
縞模様の魚がそう尋ねますが、銀の鱗の魚達は仲間外れにしました。理由は、銀の鱗を持っていないから。ギザギザヒレの魚は「そいつなんか ほっとけ。」と言って、自分達だけで遊びに出掛けてしまいました。
縞模様の魚と同じように、以前はにじうおも仲間外れでした。そのことを思い出したにじうおは、この状況に引っ掛かりを感じます。
ところが、にじうおは自分が仲間外れにされるのを恐れて、ギザギザヒレの魚に逆らえません。縞模様の魚を置き去りにして仲間達と泳いでいきました。
気づけば、にじうおは仲間達との遊びに夢中になって、縞模様の魚のことなど忘れてしまいます。
そんなとき、突然サメが現れて、群れを目掛けて襲ってきました。銀の鱗の魚達は、四方八方へと逃げ回り、なんとか安全な場所に身を潜めます。全員無事に珊瑚礁の狭い割れ目に隠れたのです。
ところが、にじうおは縞模様の魚のことを思い出すと心配が一気に募ります。そして、とうとう我慢できなくなったにじうおは、珊瑚礁の割れ目から泳ぎ出て……。
自分がされて嫌なことを誰かにしてしまった経験がある人は少なからずいることでしょう。また、同じ過ちを繰り返してしまう人もいることでしょう。
この絵本は、そのような悪い行いに葛藤するにじうおの姿を描きます。にじうおは居ても立っても居られず、縞模様の魚を助けに向かいますが、無事に助け出すことができたのでしょうか。
にじうおの葛藤や行動からは、本当に大切なことが何かをを気づかされます。そして、自分が不利になったとしても正しい行いをすることがどれほど大切か、その素晴らしさを実感させられます。