この絵本の内容紹介あらすじ

青く深い遠くの海に一匹の魚が住んでいました。その魚は『にじうお』と呼ばれていました。青や緑や紫、虹のような色合いの鱗を持っていたからです。さらには、銀に輝く鱗まで持っていました。

にじうおは世界一綺麗な魚ですが、大きな欠点もありました。それは、自分の美しさを過信し、傲慢ということ。

「おいでよ,にじうお。いっしょに あそぼう!」

他の魚達が誘っても、にじうおは返事もせずに通り過ぎました。

にじうおは仲間外れに……

「おねがいだから,きみの その きらきらうろこを 1まい おくれよ。 —— きみには そんなに たくさん あるんだもの。」

ある日、小さな魚がお願いをすると、にじうおは「とっとと あっちへ いけ!」と威張った態度で一喝。

小さな魚は、その言葉に驚きを隠せませんでした。その場を慌てて逃げ出し、他の魚達にその出来事を話しました。

それ以来、にじうおは独りぼっちになってしまいました。他の魚達は、にじうおとの関わりを避けるようになったのです。

幸せになる方法とは?

世界一綺麗な鱗でも、誰にも褒めてもらえなければ何の役にも立ちません。それなのに、にじうおは世界一寂しい魚になってしまったのです。

ある日、独りぼっちのにじうおはヒトデに悩みを打ち明けました。

けれども、ヒトデも解決方法が見出せません。賢いタコのお婆さんなら助けてくれるかもしれないと言うのでした。

そこで、にじうおは珊瑚礁を越えて、深い洞穴へと向かいました。そうしてタコのお婆さんのもとへ辿り着くと悩みを相談しました。

すると——

「こう するが いいさ。きらきらうろこを 1まいずつ,ほかの さかなに くれてやるのじゃ。それで おまえは,いちばん きれいな さかなでは なくなるが,どう すれば しあわせに なれるかが わかるだろう。」

絵本「にじいろのさかな」の一コマ

にじうおは、その言葉が信じられませんでした。銀の鱗があってこそ幸せになれると考えていたからです。

そうして思い悩んでいると、突然、小さな魚が現れました。また同じお願いをしに来たのです。

にじうおは迷いつつも今度は銀の鱗を分けてみることにしました。すると、にじうおに意外な感情が芽生え……。


ピクトブック編集部の絵本談議

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この絵本は、にじうおの銀の鱗がキラキラ光っているね!

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うんうん。綺麗な絵本だよね!

ところで、この絵本に否定的な意見もあるらしいんだ。
『誰かのおねだりを聞き入れて仲間に入れてもらうお話』といった解釈をされて……。

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言われてみれば、そんな解釈も出来なくはないけど……。

それでも、この絵本が伝えたいのはきっと違うことなんじゃない?
『外見的な美しさよりも内面的な美しさのほうがとても大切』といったメッセージが伝わったような気がするよ!

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読み聞かせする側の大人も否定的な解釈をしてしまうこともあるのかも。
子どもに間違った解釈をされないように、丁寧にフォローしながら読み聞かせすることも大切なのかもね。

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うんうん。
他の魚達がにじうおを避けるようになったのは、銀の鱗を貰えなかったからなのかな? 威張った態度に嫌気が差したからなのかな?

どう解釈するかで印象が大きく変わるよね!

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たしかに!
じっくり魚達の心境を考えてみるのもタメになるよね。

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他の魚達は、にじうおを除け者にする以外に方法がなかったのかな?

そんなことを考えてみることも大事なことだよ!
いろんな角度から、親子で話し合ってみることも楽しみの一つになると思うなぁ。