この絵本の内容紹介あらすじ

物語を楽しみながら、良いことと悪いことを教えてくれるイソップの物語。いまこそ子どもも大人も読むべき内容がいっぱいです。村上 勉が自ら再話し、描き下ろしたイソップ絵本の決定版。16話収録。

・再話・絵/村上 勉さんからのメッセージ
私がイソップ童話をはじめて描いたのは、もう45年も昔のことで、「はととあり」が教科書の巻頭ページを飾ったものでした。
その後、月刊絵本や名作絵本などにイソップをどんどん描き続け、「北風とたいよう」「ライオンとねずみ」などは、4、5回ほども描いたと記憶しています。
このあたりで集大成として私のイソップ童話を思いきり描いてみたい。そこで私の大好きな16編を選び出し、再話も自分でして1冊にまとめさせていただきました。
初めて絵も文も両方書いてみて、しみじみと「ありときりぎりす」の心にしみることといったら……。

・担当者のうちあけ話
わたしの絵本に関する一番古い記憶は、村上勉先生が描かれた「イワンのばか」に出てくる金貨の絵が気に入って、何度も何度も読んでもらったこと。ふちのぎざぎざまで細かく描いてあって、金貨を手に持ったときの重さまで感じられるようだったのです。
そしていま、この本の原画を見ると、そのときの感覚がまざまざと蘇ります。例えば、小さなねずみのしっぽにある点々模様とか、ウサギが昼寝をしている草原の草の葉とか、服の模様とか、細部に対する熱意がすごいのです。とても96ページ分を描き下ろしたとは思えません。
しかもこの本は再話もしていただき、文章の割り方もデザインもおおよそ決めていただいたので、文字がぴたりぴたりと、おもしろいように絵にはまるのです。
村上先生、これじゃあ編集者も作家もやることなくて、失業しちゃいます。それに毎日、夜明け前から絵を描き始める先生に「ありときりぎりす」が身に染みるなんて書かれても、と申し上げると、「いや、それはお金のことだよ。若いころは稼いだら、海外へ放浪にいったり、友達におごってさわいだり、ためることなんか、まったく考えなかったからねえ」。
やはり、イソップは子どものときに読むべき……ですね(笑)。(ほろほろ鳥)