この絵本の内容紹介
幾つもの季節を共に過ごした男とりんごの木。
大きく立派なりんごの木は、誰からも愛され、持ち主の自慢でした。ある日、雷に打たれて2つに裂けたりんごの木は、もうたくさんの実をつけることもなくなり……。
……老いたりんごの木は、なじみ深い手がやさしく自分にふれるのを感じました。フーベルトがそっとなにかをささやきます。木は、しずかにうなずきました。――(本文より)
おそらく、この本を読む人の多くが、人生についてのいくらかの感慨、哲学を喚起されるにちがいない。(中略)にもかかわらず、やはり私の中に途惑いがある。そんなに早く要約していいのか、そんなに早く他人の物語から普遍性ばかりをとり出して読みすごしていいのか、と。そんな逡巡が消えないのは、この本がいい本だからだと思う。――山田太一(読書人の雑誌「本」9月号より)