この絵本の内容紹介
「おばあちゃん、なに してるの?」
「おいしい うめぼし、つけるのさ。おまえも いっしょに、てつだって」
ある日、おばあちゃんが縁側で梅干しを漬けていました。女の子が学校から帰ってくると、その梅干し作りを手伝うことに。
ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ。塩で梅を揉みながら瓶に詰めます。女の子が「いつ 食べられる?」と尋ねますが、「まだだよ、まだだよ」とおばあちゃん。
今度は紫色の葉っぱを買ってきて、その葉っぱに塩をまぶして揉み込みます。そして瓶の水に混ぜていくと、梅干し色に早変わり。女の子が「もう、食べられる?」と尋ねますが、「まだだよ、まだだよ」と答えは変わりません。
梅雨が明けてセミが鳴きだした頃、おばあちゃんは庭先で梅干しを並べて干しました。それから三日過ぎると、おばあちゃんは「これで しばらく、おわかれね」と言って、干していた梅干しを瓶に戻します。
そうして秋が過ぎ、冬を迎えると、女の子は梅干しのことなどすっかり忘れてしまいます。それからまた春を迎えると、おばあちゃんは梅干しの入った瓶を引っ張り出しました。
「ようし、食べるぞ!」と女の子は張り切りますが、おばあちゃんは「まだだよ、まだだよ」と言って……。
一体いつになれば梅干しは食べられるのでしょうか。
梅干し作りを通して、おばあちゃんと孫の温かな交流を描きます。おばあちゃんの「まだだよ、まだだよ」の言葉が心地よく感じます。また、女の子のもどかしい気持ちも伝わります。
普段口にしている梅干しが、これだけ長い時間をかけて出来上がるという事実にも驚くことでしょう。そして、そのことを知ったからこそ、梅干しがなおさら美味しく感じられるはずです。
この絵本に登場するおばあちゃんは、自然の恵みに感謝し、手間をかけることを惜しみません。待つことを楽しむ、ゆっくり時間をかけて味わう、そのような時間の使い方もあるのです。