この絵本の内容紹介
昔、あるところに働き者のお爺さんとお婆さんが暮らしていました。
ある日、お婆さんが川へ洗濯に出掛けると、川上から黒塗りの箱が流れてきました。不思議なことに、その箱の中には真っ白の子犬が入っていたのです。
お婆さんはその箱を拾い上げ、子犬を家に連れて帰りました。すると、お爺さんは大喜び。シロという名前を付けました。
「シロや、もっと ごはんを たべるんじゃ。」
「シロや、もっと さかなを たべるんじゃ。」
そう言って大切に育てるうちに、シロはどんどん大きくなって、立派な犬に成長しました。
そんなある日のこと、お爺さんが山へ芝刈りに行こうとしていると……。
「おらの せなかに、のっとくれ。」
シロが口を利いたので、お爺さんはびっくり仰天。大切なシロの背中には乗れないとお爺さんは断りますが、それでもシロは譲りません。お爺さんを背中に乗せると山へ登っていきました。
それからしばらくして、シロは急に立ち止まりました。そして今度は、「ここ ほれ、わんわん!」と言いました。お爺さんはシロの言うとおりに掘ってみると、地面の下から沢山の大判小判が出てきたのです。
その噂を聞きつけたのは、隣の怠け者のお爺さん。シロを一日貸してくれと言って、強引に引っ張っていきました。
そうして、シロが何も言わないうちに、怠け者のお爺さんは背中に乗り、山へと歩かせました。シロがふと足を止めると、何も言わないうちに、勝手に地面を掘り始めます。
すると、地面の下から出てきたのは、大蛇やムカデやカエルばかり。それに腹を立てた怠け者のお爺さんは、シロを木の棒で叩いて殺してしまいます。それからシロを地面に埋めて、松の小枝を一本挿して帰っていきました。
翌日、そのことを知った働き者のお爺さんとお婆さんが山を登ると、松の小枝は一晩のうちに立派な松の木になっていました。その木をさすりながら、お爺さんとお婆さんは涙が止まりません。シロのためにせめてもと、この木を臼にして餅をついてあげることにしました。
そして、その臼で餅をつくと、また驚くことが起きました。「ぺったんぺったん」と餅をつく音は、いつのまにやら「ちゃりんちゃりん」という音に。二人が臼の中を覗き込むと、そこには大判小判が輝いています。
怠け者のお爺さんとお婆さんは、その出来事を聞きつけると、今度はその臼を無理やり持ち出し……。
働き者のお爺さんとお婆さんには福が訪れ、怠け者のお爺さんとお婆さんには災いが訪れます。最後は、身勝手で欲張りな怠け者のお爺さんに取り返しのつかない災いが起こります。
この絵本の巻末には、「みるなのくら」という昔話も付いています。