この絵本の内容紹介あらすじ

いたずら坊主のトン・ウーは、お寺に何百年も住みつく蜂の巣を棒でたたきました。怒った蜂は、トン・ウーに「巣をたたいたやつを知らないか?」とたずねます。トン・ウーはとぼけて、「化け物魚がやったんだろ」とか「そういえば、目もくらむくらいきれいな鳥が通っていったな」とか「腰が抜けるくらいでっかい龍が門をくぐっていった」なんて、ウソばかり。ところが、トン・ウーのついたウソの通りの化け物が現れて……?
お経をあげたり、座禅を組んだり、トン・ウーに犯人を教えてもらおうと色々な芸を見せる蜂と、トン・ウーとのかけあいが楽しい、現代の民話風絵本です。

・文/小風さちさんからのメッセージ
「トン・ウーとはち」によせて 小風 さち
韓国を訪れるたび、あまりの近さゆえ、逆にびっくりする。からくり箱を使って、世界をひっくり返されたような気がする。衣食住はもとより、色彩、作法、言葉の響き。違いと類似に目を見張る。日本が島国ということもあるだろう。玉手箱をのぞくように、隅々まで見てみたくなる。DNAに手招きされるのを、じっと味わっていたくなる。
ある時、浮石寺(プソクサ)という山寺に泊まった。起きると、いい天気だ。どれ仏様のお顔を拝もうと外に出ると、男の子の泣き声がする。見事な泣きっぷりである。蜂に刺されたらしい。境内を掃いていたお坊様が、箒片手に駆けつける。男の子は泣く。お坊様は走る。袈裟がたなびく。お話が生まれる。

小風さち作「トン・ウーとはち」の絵を描く。 小野かおる
韓国の現代の話である。しかもお寺の小坊主の話。ありがたーい話かと思ったら、それが大ちがい。小坊主トン・ウーは、悪ガキなのである。フムフムわたしは悪ガキを描くのが好き、どうもかわいいお嬢ちゃんは苦手なのである。トン・ウーは瞬時にいたずらを思いつく。それも怪物ばかり。韓国の怪物? 調べました。終わりに、トン・ウーが蜂にさされてワンワン泣くところで、ホッとしたものです。
今日はトン・ウー君、お母さんのうしろについて、何を考えているのやら。