この絵本の内容紹介
読むと、きっと空を見上げたくなる絵本。
遠足の前日、台風が近づいてきました。子どもたちは、てるてる坊主を作ります。その数が100個になったとき……、てるてる王子の出番です。さて、あしたは晴れるかな?
第30回講談社絵本新人賞受賞作。
・作/コマヤスカンさんからのメッセージ
今年ももうすぐ夏がやってきますね(暦の上では、立夏は5月5日)。夏といえばやっぱり入道雲。モクモクモクモク育っていくさまを見ているとほんとにワクワクしますね。まるでほんものの巨人を見ているようです。雲って不思議ですよね、クジラに見えたり、お城に見えたり、でっかい飛行船に見えたり……。
いえいえ、それは見えているわけではないのです。本当に、クジラやお城や飛行船なのですよ、空の世界ではね。そして、その空の世界の王子さまが“てるてる王子”なんです。
でも、てるてる王子って、いつもは何しているんでしょうね。空のうえで、昼寝ばっかりしているのでしょうか。まあ、昼寝もよくするし、ジュースばっかり飲んで、おしゃべりばかり夢中になるし、あんまり仕事はしないのですけど、けれどひとつだけ、きまりがあるのです。
それは、“てるてる坊主が100個あったら、あしたぜったい晴れにしないといけない”ということ。いやな雨雲がなければいいのですけど、台風なんかがやってきたら大変です。あれっ、ちょっと雲行きが怪しいですよ。
・担当者のうちあけ話
表紙をごらんになっていただいただけでも、わかると思うのですが、とっても不思議な絵本です。いちばんナゾなのが、ゆる~い感じで旗をもってる主人公、てるてる王子ですよね。で、表紙を開くと、まるで自然科学絵本のような見返し。さらに海から台風が近づいてくる街のパノラマがすごく細かく描かれています。そしてページをめくるたびの大胆な構図のきりかえ。宿敵・台風殿下との対決シーンをへて、再び雄大なパノラマで大団円。なのに漂ってくるのは、のんびりのんきな、ゆる~い空気。そして読み終わったときには、雲の住人をさがして空をながめたくなります。
どうやらこの新人は、絵本界に不思議な空気を運んでくる大型台風、ではなくて大型新人なのではあるまいか。