この絵本の内容紹介
ある日、丘の上のちいさな家にすむねずみのところへ、おなかをすかせたねこがやってきます。大よろこびのねずみは、手づくりのごちそうでもてなしますが……!?
私も、弱くもろい不完全な人間ですが、世の中には、自分が生きるために人をだましたり、いがみ合ったりする人々がいます。表面、平和な面差しなのに、その裏には、すきあらば相手を陥れたり我欲を満たそうとする眼差しが見えます。こんな社会に、もし、たいそうお人よしがぽつんといたとしたらどうでしょう。おそらく、周囲の一見堂々と見える人々より、ほんとうに強い人間だと思います。相手を疑わず、自分のできる力で接し、その結果の報酬も考えず、ただひたすら生きている喜びや、自然を愛する心をもっているお人よし。そんな人間像、もしかしたら神様かもしれませんが、でも私には現実にいてほしいと願い、また、たくさんいると信じたいのです。それが、この「ねずみのごちそう」の絵本を画くきっかけになったのです。そういえば、私の周囲にも、このねずみに近いお人よしが何人もいるようです。この本を見られている貴方もきっとその1人だと思います。──杉田豊