この絵本の内容紹介
今夜は、近所の若者達が集まって、ごんべえさんの家で酒盛りです。楽しい集まりで、笑い声が絶えません。その楽しそうな笑い声を聞きつけて、山から下りてくる者がいました。
夜も遅くなると、楽しい酒盛りも今日はこれでお開き。若者達は提灯で夜道を照らしながら帰っていきました。
片付けは明日に回して、ごんべえさんが寝る支度をしていると、誰かが表の戸を叩く音がします。
「ごんべえ、ごんべえ」と呼ぶ声もするので、戸を開けてみるごんべえさん。ところが外には誰もいません。しばらく様子を見ていましたが、やっぱり誰もいませんでした。
ごんべえさんが布団に入って寝ようとしていると、また戸を叩きながら名前を呼ぶ声が聞こえてきます。
「ははぁ、たぬきだな」
ごんべえさんは、戸を叩く何者かの正体に勘付きました。
たぬきは尻尾で戸を叩いても音はしません。後頭部で戸を叩いているのです。
それを知っているごんべえさんは、そっと戸に近づき……。
ごんべえさんがこっそり近づいているとも知らず、たぬきは嬉しそうにイタズラを続けます。ところが急に戸が開くと、ごんべえさんの家の中に背中から転がり込んでしまうのでした。
たぬきは家の中を逃げ回りますが、とうとう捕まってしまいます。そして、ごんべえさんはたぬきを反省させようと、縄で縛って一夜を過ごさせることにしました。
翌日、昨日の酒盛りのお礼にと若者達がごんべえさんの家を訪ねてきました。若者達は、たぬきが縄で縛られているのを見るやいなや、「今晩はたぬき汁だぁ」「毛皮はオラがもらう」と大盛り上がり。
そんな若者達の会話を聞いて、たぬきは真っ青。一体どうなってしまうのでしょうか。
恐ろしい展開の予兆にハラハラドキドキ。ごんべえさんの優しさにホッと一安心。最後は、お調子者のたぬきのオチにクスッと笑ってしまいます。
普段は落語には馴染みの薄い方が多いかもしれませんが、絵本をとおして楽しんでみてはいかがでしょう。落語の魅力を知るきっかけになるはずです。