この絵本の内容紹介あらすじ

海辺でふしぎな石を見つけたら、あなたならどうしますか?

いまからおよそ200年ほど前、イギリス南部の海辺の町ライム・リージスに、化石を探すことが大好きな少女がいました。名前はメアリー・アニング。18世紀末から19世紀なかばに生き、古生物学の発展に大きく貢献した女の人です。

まずしい労働者階級の家に生まれたメアリーは、家計を助けようと、小さいころから海岸や崖で化石をさがし、それを売って暮らしていました。学校にもほとんど通えません。しかし本を読み、見つけた化石をじっくりと観察し、ときにはいま生きている生物とくらべながら、自分の力で知識と発掘の方法を身につけていきます。そして魚竜や首長竜、翼竜など、当時では考えられない、常識をくつがえす重要な化石をたくさん発見しました。
大昔の地球には、いまはもういない巨大な生物が生きていた――メアリーの発見は、人びとが地球の歴史をとらえ直す、大きな手がかりとなったのです。

しかし、当時の科学の世界は、上流階級の男性たちが中心でした。女性だったメアリーは、ロンドン地質学会に入ることができませんでした。彼女の発見をもとに研究者たちが論文を書いても、そこにメアリーの名前が記されないこともありました。大切な発見をいくつも重ねたにもかかわらず、それにふさわしい評価や収入を得ることはできず、生活に困ることもたびたびありました。

現在では古生物学の歴史に欠かすことのできない人物であるメアリー・アニングの、発見の喜びと、認められない苦しみーー。本書はその心の動きを、水彩を生かした、おぼろげでありながらドラマチックな絵で描き出します。

さらに本書は、メアリーの生涯をたどる伝記絵本にとどまらず、当時の人びとは化石をどのように捉え、そこから太古の世界をどのように解き明かしてきたのか、化石をめぐる人類の長い探究の歴史にも目を向けます。巻末には、世界をおどろかせた化石発見のニュース、メアリーが切り開いたともいえる研究方法、先史時代の人びとと化石とのかかわり、用語解説なども収録。ひとりの偉大な少女の物語を知るとともに、化石研究の過去から現在までを学ぶことができます。

社会の壁にはばまれながらも探究をあきらめなかった女性に光を当てた、科学絵本としても伝記絵本としてもすぐれた作品です。

絵本「化石ハンター メアリー・アニング」化石ハンター メアリー・アニング」の中面
絵本「化石ハンター メアリー・アニング」化石ハンター メアリー・アニング」の中面2