この絵本の内容紹介あらすじ

小さな島の火山から「ぼっかーん!」と生まれた、大きな赤ちゃん。
煙をはきあげ、大岩なげつけ、くさいおならも、ぶっべっばっ。したいほうだい、大あばれ!
でも温泉、湧き水、きれいな景色と、火山の赤ちゃんはいいこともいっぱい生みだす。
やがて赤ちゃんは、もっともっと大きくなって……

ザ・キャビンカンパニーの2人(阿部健太朗さん、吉岡紗希さん)が、2016年に熊本地震に見舞われたことでできた作品です。
九州・大分で創作をつづける2人は、以前から火山をテーマに作品をすすめていましたが、知人が阿蘇山噴火による観光客激減で落ちこんでいるのを見て、ためらいがうまれ創作がとまります。
そんななか吉岡さんが妊娠し、熊本地震さなかの2016年4月に出産(当地は震度6弱)なさいました。吉岡さんは、陣痛と大地震の両方を経験し、生命と大地のつながりを強く感じたそうです。また地震で車中泊を余儀なくされている友人を見舞い、話をきいたことで、このテーマを絵本にすることに対する意義を改めて見い出すことになりました。
山を赤ん坊に見立てた本作品では、生まれる前の陣痛が大地震となり、その赤ん坊の泣き声は灰を降らせ、おならは硫黄の臭いを大地にふりまきます。そのいっぽうで湧水や温泉、迫力のある景観などの観光資源など、多くの恵みももたらし、大地をまたあらたな段階へと再生させていきます。
本作品はそうした、いきものたちと密接なかかわりのある造山運動を、子どもたちにも親しみやすく感じることのできる絵本であり、また大地の鳴動を赤ん坊に見立てた「国生み神話」ともいえるでしょう。
大分に生まれ育ち、根をおろして活動する2人(と赤ん坊)がつむぐ、九州の雄大な自然への賛歌、そしてそこに暮らす人々への応援歌です。

絵本「あかんぼっかん」の一コマ
絵本「あかんぼっかん」の一コマ2