この絵本の内容紹介あらすじ

「むかし、あるところに、じいさまとばあさまがすんでいました」
貧しい暮らしであったのですが、二人は仲良く暮らしていたという。

ある冬の日、おじいさんは薪木を背負って町に売りに出かけました。
雪が降り始め、凍えるなか元気を出して歩きます。
道中、ばたばたっという音がするので近づいてみるとそこには罠に引っかかった一羽の鶴がもがき苦しんでいました。

おじいさんは、その鶴を助けてあげると空に舞い上がって消えて行きました。

その夜、おじいさんが家に帰るとおばあさんに鶴を助けたお話をするのでした。
そして、ちょうどそのとき、とんとんと戸を叩く音がするのです。
おばあさんが戸を開けるとそこには小さく美しい娘が立っていました。

「旅の者ですが、この雪で困っています。どうか一晩泊めてもらえませんか?」と娘は言います。
おじいさんとおばあさんは温かく迎え入れると暖かいご飯とお布団を用意しました。

おじいさんとおばあさんが朝に目覚めるとびっくり。娘はお礼にと料理や掃除をするのでした。
その日も次の日も雪は降り続きました。娘には身寄りがないことがわかったおじいさんとおばあさんはうちのこにすることにしました。

正月が近づくある日、おじいさんとおばあさんは、娘に着物を着せたいと思いました。しかし、貧しい暮らしであったので到底叶いません。
そこで、せめてもお餅くらい食べさせてあげたいと思いました。
そんなとき、娘がはたを織ると言いいます。はたを織っている間は決して覗かないでくださいというのです。

三日経つと立派な布ができあがりました。そして、これを町で売るように娘は言います。値段はこちらから決してつけてはいけませんというのです。

おじいさんが布を町へ持っていくとたくさんの人が集まりました。
「わしなら十両」「いいや、おいらは二十両」
そうして値段はつり上がり、とうとう百両で売れてしまいます。

お正月がやってきました。優しいおじいさんとおばあさんは、近所の子どもたちにお餅をついてごちそうしました。

そして、お正月が過ぎると娘がまたはたを織ると言います。はたを織っている間は決して覗かないでくださいというのです。

近所の人たちがやってきて、「どういうふうに織っているのかな」と不思議がります。
そして、近所の人がおばあさんに言います。
「親なんだから娘がどんなふうにはたを織っているか見ても悪いことはあるまい」

おばあさんはその言葉に納得してしまいとうとう部屋を覗いてしまうのですが……。

優しいおじいさんとおばあさんに心が温まりますよね。最後は娘との約束を破ってしまいますが、そこも人間らしさが表現されています。