この絵本の内容紹介
山の村はずれに泥棒学校という変な学校がありました。そこの校長先生は、世にも名高い『くまさか とらえもん』先生です。
「おっほん、どろぼうがっこうの せいとは、いっしょうけんめい せいだして、 はやく いちばん わるい どろぼうに なるよう、うんと べんきょうしなければ いかんぞ。いいか、わかったか。」
校長先生が言って聞かせると、生徒達は元気な声で「はーい。」「へーい。」「ほーい。」と間抜けな返事をしました。
今日の授業が終了すると、校長先生が生徒達に宿題を与えました。その宿題とは、明日までに何か泥棒をしてくること。校長先生が「いいか みんな わかったか!」と言って話し終えると、生徒達はまたもや元気な声で「はーい。」「へーい。」「ほーい。」と間抜けな返事をしました。
「いちばん いいのを もってきました。」
翌日、ネズミ小僧のじろきちが一番乗りで宿題を持ってきました。盗んできたのは革靴です。校長先生は「かんしんじゃ」と言って、じろきちを褒めますが、そのあとすぐに怒り始めました。じろきちが盗んできたのは自分の家の革靴だったからです。
「せんせい、わっしは よそさまの ところから、どっさり 三十も とってきました。」
次に登校してきた”いしかわのろくでなし”の言葉を聞くと、校長先生の期待も高まります。ところが、よくよく話を聞くと、盗んできたのはアリの卵でした。校長先生は「もっと、ねだんのたかいものを どろぼうして こなくては だめだ!」と怒ってしまいました。
そのあとも生徒達が宿題を持ってくるたびに校長先生はカンカンに怒りました。ある生徒は校長先生の金時計を盗んできたり、またある生徒は泥棒学校の黒板を盗んできたり、校長先生の期待に応えられる生徒は誰もいません。
怒ってばかりの校長先生ですが、すぐに機嫌を取り戻しました。明日は、楽しい遠足が待っているのです。校長先生も生徒達も大喜びで明日の遠足を待ち遠しく思いました。
ところが、泥棒学校の遠足は物騒です。持ってくるのは、おやつではなく、ネジ回しと出刃包丁。集合時間は夜10時なのです。
そして翌日、夜が更けると、校長先生と生徒達は楽しい遠足に出掛けました。抜き足、差し足、忍び足で目指すのは、隣の金持ち村です。到着すると、一番大きな建物を探して、さっそく泥棒に入ることにしました。
「よっぼど すごい かねもちは、どろぼうよけに いぬやら ばんにんに みはりを させているもんだ。きっと どっさり たからものを もっている しょうこだぞ。」
そう言って、校長先生や生徒達は、見張りのいる大きな建物に忍び込むのですが……。校長先生と生徒達を待ち受けていた意外な出来事とは!?