この絵本の内容紹介あらすじ

ある山の崖に家が一軒建っていました。その家に住むのは若い赤鬼。他の鬼達とは違って、とても優しい赤鬼でした。

「わたしは、鬼に生まれてきたが、鬼どものためになるなら、できるだけよいことばかりをしてみたい。いや、そのうえに、できることなら、人間たちのなかまになって、なかよく、くらしていきたいな。」

赤鬼は日頃からそう願っていました。そして、その想いを試してみることにしました。

ある日、赤鬼は自分の家の前に立て札を立てました。そこにはこう書かれています。

「ココロノ ヤサシイ オニノ ウチデス。ドナタデモ オイデ クダサイ。オイシイ オカシガ ゴザイマス。オチャモ ワカシテ ゴザイマス。」

その翌日、村の男が通りかかると、その立て札に目を止めました。それから立て札を読むと、慌てて山を駆け下りていきました。

その男が村に帰り着くと、さっそく仲間の男に立て札の話をしました。そして、二人は立て札のもとに戻って、じっくりと鬼の字を眺めました。

不思議に思った二人は、恐る恐る赤鬼の家を訪ねてみることにします。ところが、二人は用心深くて家の前まで辿り着きません。

赤鬼は家の中から二人の会話を静かに聞いていましたが、いつまでも訪ねてこない男達にイライラしていました。

そしてようやく二人が戸口まで着くと、「さては、だまして、とって食うつもりじゃないかな。」と言いました。

赤鬼はこの会話も耳を澄ませて聞いていました。優しい赤鬼も、こう言われてはさすがに腹が立つものです。窓から顔を出し、「とんでもないぞ。だれが、だまして食うものか。ばかにするない。」と叫んでしまいます。

その大きな声に二人の男は血相を変えて逃げ出します。赤鬼は二人の男を呼び止めようとしますが、その男達に振り向く暇はありません。一足飛びに村へ逃げ帰ってしまいました。

赤鬼は自分の期待が外れたことに腹を立て、心を込めて作った立て札を踏み潰してしまいます。

ちょうどそのとき、青鬼が訪ねてきました。そして、赤鬼の話をじっくり聞くと良いことを思いつきました。それは、青鬼が村で暴れるフリをして、赤鬼が村人達を助けるというもの。赤鬼はその考えを聞きますが、青鬼に申し訳なくて賛同できません。

「なにか、ひとつの、めぼしいことをやりとげるには、きっと、どこかで、いたい思いか、損をしなくちゃならないさ。だれかが、ぎせいに、身がわりに、なるのでなくちゃ、できないさ。」

青鬼はそう言うと、尻込みする赤鬼を引っ張って、村に出掛けました。そして村に着くと、青鬼はさっそく一軒の家で暴れ始めます。それから青鬼の指示通り、赤鬼が青鬼を退治して村人を助けました。

その様子を見ていた村人達は、すっかり感心して赤鬼の家に訪ねるようになりました。それ以来、赤鬼は幸せな日々を過ごします。

ところが、それと同時に青鬼が訪ねてくることはなくなりました。そのことに気づいた赤鬼は、青鬼のことが心配になって、家を訪ねることにするのですが……。


この絵本は、本当の友達がどんな存在であるかを描きます。赤鬼の志は素晴らしいものでしたが、その代償はあまりに大きいものでした。果たして何が正しくて何が間違っていたのか……。本当の答えがあるかは分かりませんが、自分なりの答えを思案してみることが大切なのでしょう。